小耳症に対する耳介再建術は、永田法として世界のテキストとなり、最先端のスタンダード術式となりました

HomeJapaneseEnglishSite map

  • クリニック紹介
  • 院長紹介
  • スタッフ紹介
  • 診療科目
  • アクセスマップ
HOME > 診療科目 > 小耳症治療

小耳症治療

小耳症治療・永田法について

永田法による全耳介再建法は、患者さん自身の胸部から取り出した肋軟骨を立体的に組み上げて皮下に移植し、耳介の表を作る「第1ステージ」と、形成された耳介全体を立てる「第2ステージ」とからなります。
また、手術の種類として、初めて耳介再建を受ける患者さんに対して行う通常の耳介再建手術の例(文中、症例1~7として紹介)の他に、一度他施設で手術を受けたものの、その結果について不満を持つ患者さんからの依頼に応じて行う耳介の再々建手術の例(文中、症例8~11として紹介)の大きく二つの種類があります。

最近においては、特に二番目の「耳介の再々建手術」のケースが増加しています。

 

■ 耳介再建法の歴史

米国の形成外科であるタンザ-(Tanzer)によって患者さん自身の肋軟骨を用いた耳介再建方法が報告されて以降、肋軟骨を用いた多くの種類の術式が開発されてきました。それらは、主に「耳介の再建までに必要とされる手術の回数」並びに「再建された耳介の形状」とから分類されますが、代表的なものとして、タンザー法、ブレント(Brent)法、そして私自身の開発による永田法とが挙げらます。
各方法の特徴として、まず最終的に必要となる手術回数について、通常の例で、タンザー法では6回、ブレント法では4回の手術が必要なのに対し、永田法では2回となっています。また再建される耳介の形状に関しては、タンザー法並びにブレント法では、米国の著名な形成外科医であるトーレス(頭部全体の形と耳の形との位置関係や頭部全体の中における耳の位置との関連性について解剖学的に分析を行った)の論文において述べられているような、解剖学的に計算される本来あるべき耳介の位置ほどには耳介が立っておらず(耳介再建では、まず耳介の形を作った上で、耳介全体を立たせる手術を行う)、その結果は不完全なものと言わざるを得ませんでした。

そのため、これらの問題を解決し、より本来あるべき耳介の形状を正確に再現できるような新しい方法が開発される必要がありました。永田法はこのような背景から開発された二段階の全耳介再建法であり、1985年に最初の手術を行って以来、現在までに2,000症例以上を行っております。他の術式との比較でも明らかなように、永田法は、手術の回数が少なくて済みかつ再建された耳介の形状が良いことなどから、現在では、米国の形成外科用の教科書に永田法が掲載されるなど小耳症に対する世界的に標準の術式となっています。

 

■ 通常の耳介再建手術の例

過去に耳介再建手術を受けたことがない患者さんに対して行われる通常の耳介再建手術は、年齢としては10歳以上でかつ胸囲が60cmより大きいことが必要条件です(肋軟骨の大きさが、手術を行うのに十分であるかどうかが予めレントゲンで確認される必要があります)。 永田法では、小耳症に関し、その程度に応じて以下の4タイプに分類しています。

•耳垂(じすい)型(Lobule Type)
•耳甲介(じこうかい)型(Concha Type)
•小耳甲介(しょうじこうかい)型(Small Concha Type)
•無耳症

さらに、これらのタイプ分けとは別に、小耳症の場合には、頭髪の生え際が通常のケースと比較して低くなる頭髪低位(Low Hair Line)のケースがあります。 永田法以前の方法では、頭髪低位に対しては、(1)頭髪の生え際を避けるために本来あるべき耳介の位置に対して耳介の位置をずらして作るか、または(2)頭髪部分にそのまま耳介を作るために耳介上の皮膚から発毛してしまうか、のいずれかの方法しかありませんでした。
永田法ではこれらの問題を解決し、頭髪低位であっても自然な耳介を再建することが可能となっています(文中、症例6、7、9、10を参照)。

通常の小耳症 手術例: |症例1|症例2|症例3|症例4|症例5|症例6|症例7|
耳介の再再建手術の例: |症例8|症例9|症例10|症例11|

 

■ 症例1 右耳・耳垂型小耳症

 

 
          手術前



                     手術後

典型的な耳垂型の小耳症。ソーセージ状の耳垂のみ存在し外耳道(耳の穴)の欠損が認められます。
第二ステージ手術後、眼鏡の装着が可能となりました。

 

■ 症例2 右耳・耳垂型小耳症

 


        手術前



                
手術後
 

•手術前:ケース1と同様に典型的な耳垂型の小耳症。やはり、ソーセージ状の耳垂のみで外耳道の欠損症例です。
•第一ステージ手術後:第一ステージ手術後6ヶ月経過後、第二ステージ手術直前の様子です。この段階で既に耳介の形状が再建されています。
•第二ステージ手術後:第一ステージで再建された耳介が、立てられています。
•第二ステージ手術後:同じ患者さんの近接写真。耳介の形状が自然かつ立体的であるために、外耳道(耳の穴)が存在するように見えます。

 

■ 症例3 右耳・小耳甲介型小耳症

 


         手術前


           
 手術後

•手術前:典型的な小耳甲介型の小耳症
•第二ステージ手術後:耳介の細かい形状が再建されています。
•第二ステージ手術後:同じ患者さんの正常な左側の耳介との比較。左右の耳介を比較して正しい位置に形成されていることがわかります。

 

■ 症例4 左耳・耳甲介型小耳症

 


        手術前


         
手術後


 

典型的な耳甲介型の小耳症。

 

■ 症例5 右耳・耳甲介型小耳症

 


       
手術前

 


        手術後

 

•手術前:耳甲介型小耳症(他所では小耳症とは区別されconstricted earと称されることがあるケース)。
•第二ステージ手術後:耳介の細かい部分まで形成されています

 

■ 症例6 右耳・耳甲介型小耳症     
頭髪の生え際が低く(頭髪低位)術式が複雑となる例

 

  
          手術前                   手術中


  
       
第一ステージ手術後                 第二ステージ手術後
     

  

•手術前ならびに手術中:頭髪の生え際の低さに注意。(b)の手術中の写真を見ると、再建される耳介の上縁部が頭髪の部分にまで入り込んでいることがわかります。
•第1ステージ手術後:第1ステージ手術後6ヶ月経過の写真。耳介の上縁部に発毛は見られません。
•第2ステージ手術後:耳介の形状が再建され、かつ立てられています。

 

■ 症例7 右耳・無耳症   
頭髪低位の中でも生え際が極めて低く、従って術式が非常に複雑となる例

 


           手術前

  
         第一ステージ手術中                 第二ステージ手術後

手術前:無耳症(anotia)の場合、一般に頭髪の生え際が低いケースが多く従って術式が複雑となる場合が多くなります。特にこの写真のケースのように生え際が極めて低い位置にある場合、より複雑な手順が必要となります。
•第1ステージ手術中:施術対象範囲(耳介となる予定の範囲)の約75%が頭髪部分であることがわかります。
•第2ステージ手術後:再建された耳介に発毛は全く見られません。このケースのように無耳症で頭髪の生え際が低いケースであっても良好な結果が得られます。

 

■ 耳介の再々建手術の例

耳介の再再建手術とは、小耳症の患者さんが、一度他所で手術を受けたもののその結果について不満を持った場合に再度耳介の再建を行うケースで、症例数はここ10年で増加しています。
耳介の再再建手術は、まず過去に一度再建された耳介を取り除いた上で再度正しい位置に新たに耳介を作る必要があり、浅側頭動脈(STA)が切断されている可能性が高いことなどからも、他の再建手術と比較しても最も難易度が高いものの一つに挙げられています。しかしながら、永田法によれば、事前に注意深く手術計画を立案した上で術式を行えば再々建手術においても良い結果を得ることができます。

 

■ 症例8 タンザー変法によって再建された耳介に対する再再健手術

 

 
            
手術前                            手術前


 

 
                    
永田法による手術終了後

     

•手術前:耳甲介(本来の耳の穴付近の部位)に移植された皮膚の色が周囲と異なってしまっており、また再建された耳介の上部付近で肋軟骨製のフレームが溶解して全体の形状が崩れつつあります。さらに、耳介の裏側の皮膚が移植された部分の面積が広すぎて禿髪状態となっています。
•永田法による第2ステージ手術終了後:耳介の形状が再建され、正しく立てられており、また、耳介の裏側の禿髪部位が解消されています。またクローズアップ写真を見ると、外耳道(耳の穴)があたかも実際にあるように耳介が形作られており、さらに耳甲介部の色調も周縁部と同様のものとなっています。
 

 

■ 症例9 顔面半側萎縮症・加えて、頭髪低位による再建耳介位置異常の再々建術

 


         
手術前                手術デザイン

 


           永田法による手術終了後

 

•手術前:この顔面半側萎縮症の患者さんの場合も、他所で初回の耳介再建を受けた患者さんが永田法での再再建を希望したケースです。
•手術中の写真では、初回の手術で作られた耳介の位置が頭髪の生え際を避けた結果解剖学的な正しい位置に無い(前方過ぎる)こと、耳甲介(本来の耳の穴付近の部位)に移植された皮膚の色が周囲と異なること、さらに頭髪低位に伴って再建される耳介の上端部が頭髪部分に入り込んでしまっているために術式がより複雑になることなどがわかります。
•永田法による第二ステージ手術終了後:耳介の形状が再建されています。また、耳介の位置も解剖学的に正しい位置となり、さらにこのケースでは、外耳道(耳の穴)も擬似的に作られました。異なった耳甲介部の皮膚の色も同じになっています。

 

■ 症例10 両顔面半側萎縮症、頭髪低位のケースの再々建術

 


         手術前                 手術デザイン

 

 
                 永田法による手術終了後

 

•手術前:両顔面半側萎縮症に対し、他所で初回の耳介再建手術が行われたケースです。
•手術中の写真から、初回に再建された耳介の位置が本来あるべき位置と大きくずれている(頬部に耳介が作られてしまっている)ことや、初回の術式時の傷跡が多く残っていること、頭髪低位であることなどがわかります。
•永田法による第二ステージ手術終了後:耳介の形状が再々建されています。また、耳介の位置も解剖学的に正しい位置となり、かつ適切に立てられています。
△メニューへ

 

■ 症例11 浅側頭動脈が切断されているケースの再々建術

 

 
          手術前               手術直前

 


              永田法による手術終了後

 

•手術前:他所での初回の耳介再建手術において鼠径部(太ももの付け根)の皮膚が移植されましたが、皮膚の色が周囲と合っていないのがわかります。また、このケースでは、患者さんが思春期を迎えるとともに、耳介の上部ならびに裏側の鼠径部から移植された皮膚の部分から陰毛が発毛してしまっています。
•永田法による第二ステージ手術終了後:耳介が正しく立てられ、またその形状が再建されていることがわかります。発毛も解消されています。